UGCがマーケティングに必要な理由について考えてみた。


マーケティング活動で究極的に目指すべきは、顧客獲得コスト(CPA)を限りなく0に近づけることだ。 その中でUGCは重要な役割を担うと考えられる。

これを認知・興味関心・比較検討・購買というマーケティングファネルで考えてみよう。 従来型のマーケティング施策は、このファネルのいずれかに「水」を注ぎ込む行為といえる。 水を流すことで、各ファネルにいるユーザーを次のステージに進めるわけだ。 例えば、テレビCMは未認知→認知のファネルから水を注いでいるし、Google広告は(検索キーワードによるが)、比較検討→購買のファネルに水を注いでいる。

しかし、この「水」には決定的な問題がある。それは流れて消えてしまうという性質だ。 広告出稿を止めた瞬間、その効果はほぼ消失してしまう。 つまり、効果を維持するためには継続的な投資が必要となる。

一方、従来型のマーケティング施策が「水」だとすると、UGCは「砂利」として捉えることができる。 広告という「水」を流すことで、ファネルのどこかの層で「砂利」が堆積していく。 これがUGCの本質的な価値だ。

この背景には、現代の顧客接点の爆発的な増加がある。X、Instagram、TikTokなど、SNSは次々と登場し、それぞれが独自のユーザー層とアルゴリズムを持っている。 企業やブランドの担当者が、これらすべてのプラットフォームを網羅的にカバーすることは、もはや現実的ではなく、顧客獲得コストは間接的に増える一方だ。

これへの対応策が、砂利(UGC)の積み上げ方として、企業自らがすべての砂利を運ぶのではなく、 ユーザーが自発的に砂利を集め、それぞれの場所に配置していく方法だ。 これにより、企業のリソース制約を超えた広がりを実現できる。

例えば、ユーザーによる商品レビューや使用体験の共有、活用事例の紹介など、それぞれのプラットフォームに適した形でコンテンツを生成してもらうことで、企業自身では手の届かない多様な接点をカバーすることができる。

とはいえ、UGC「だけ」に依存するのは現実的ではない。 特に新商品のローンチ時など、不特定多数へのアテンションが必要な段階では、従来型の広告施策との併用が効果的だろう。

ここで重要なのは、広告施策の目的を再定義することだ。 従来の「商品認知→購買」という単純な目的設定ではなく、「どうすればこの広告をきっかけにユーザーが自発的にコンテンツを作ってくれるか」という視点を加える必要がある。

例えば、単に商品の機能や特徴を訴求するだけの広告ではなく、「この商品でこんな体験ができる」という要素を含めることで、ユーザーが自身の体験を投稿したくなるような動機を作る。 あるいは、商品を使った独自の活用法を募集するキャンペーンを実施することで、自然とUGCが生まれやすい土壌を作る。

このように、限られた広告予算を使う際も、「直接的な販促効果」だけでなく「UGC生成のきっかけづくり」という視点を持って投資配分を考えることが重要だ。

理論的には、マーケティングファネルの全ての層で十分な質と量のUGCが蓄積されれば、顧客獲得コストは0に近づいていく。 もちろん、これは理想的な状態であり、完全な実現は困難である。

しかし、自社の商材特性に応じて注力すべきファネル層を見極め、そこでのUGC生成・蓄積を戦略的に進めていくことで、より効率的で持続可能なマーケティングモデルを構築することが可能だ。 例えば、高額商材であれば比較検討層でのUGC(詳細なレビューや使用体験)に注力し、消耗品であれば認知・興味関心層でのUGC(使用シーンの投稿など)を重視するといった具合だ。

これまで述べてきたUGC(砂利)の本質的な価値をまとめると、以下の特徴が挙げられる:

このような戦略的なUGCの活用と従来型広告の組み合わせにより、持続的かつ効率的なマーケティング活動が実現できるはずだ。

…知らんけど。