『弱者の戦略』を読んだ
条件が良いところは、競争が激しい。競争を避けて、「ずらす」ということは、少し条件の悪いところへ移ることなのだ。 弱者にとって、チャンスは恵まれているところにあるのではない。少し条件の悪いところにこそ、チャンスがあるのである。 群れたり、逃げたりすることと比べると、「ずらす」戦略は、じつに複雑である。また、条件の悪いところをあえて選ぶという極めて戦略的な側面を持つ。 「ずらす」ことは、じつに秀逸な戦略である。もちろん、ただずらせば良いというほど単純なものではない。「ずらす」ためには、知恵と工夫が必要なのである。
ズラす。ポジショニング。差別化。みたいなありがちなキーワードだけど、単にズラせばいいというわけではなくて、それなりの知恵と工夫とがセットであることを忘れてはいけない。
ナンバー1しか生きられない。これが厳しい掟である。こうした競争があらゆる生き物の間でくり広げられ、その結果勝者が勝ち残り、敗者は去りゆくのみなのだ。種類のゾウリムシは生き残りを懸けて激しく競い合い、共存することこうして、強い者が生き残り、弱い者は滅んでしまう。 … しかし、自然界を見渡せば、多種多様な生き物が暮らしている。ナンバー1しか生きられないはずなのに、どのようにして多くの生物が共存しているのだろうか?
自然界にオンリー1なんて存在しない。環境を棲み分けしないといけない。そして、くり返しなるが、棲み分けには工夫と知恵が必要。
ランチェスター戦略では、強者とは市場占有率第一位を指している。そして、第一位以外の者は、すべて「弱者」と定義されている。つまり、ナンバー2もまた、弱者なのである。そんなバカな、と思うかも知れないが、これはナンバー1しか生きられないという自然界のしくみとも良く合っている。 ナンバー1しか生き残れない。しかしナンバー1になるチャンスは無数にある。 そしてナンバー1の条件は「誰にも負けない」ことではなく、「誰にもできない」ことなのである。
「誰にも負けない」ことではなく、「誰にもできない」こと。はいい言い回しだ。 誰にもできないことが棲み分けや差別化につながって、それで種がニッチを獲得できるとして、外的環境の変化(例えば、人類の環境破壊)によってそのニッチを脅かされることはあるんだろうけど、他の種にその差別化要因を模倣されることって生物界においてはないんだろうか。
コバンザメにとって、重要なことは強者の邪魔をしないということである。 それだけではない。コバンザメは大型魚の体につく寄生虫を食べることもある。こうして大型魚の役にも立っている。ちゃっかりと利用しているようで、しっかりと双方の利益を考えているのである。
片方だけうまい汁を吸えるわけはないぞと。