『戦略読書日記』を読んだ
戦略読書日記を読んだ。
ストーリーとしての競争戦略の著者の本で、ストーリーとしての戦略の方は数年前に読んでたが、本書は副読本的に使うとより面白そう。
数年前の俺にとっては、ストーリーとしての競争戦略は、ボリューム多いし、内容もピンとこなかったこともあり、同じ著者の本は避けてたんだけど、結果読んでよかったと思う。 本書は内容もカジュアルなので読みやすいし、本書で紹介されてた本がどれも面白そうだったので、数珠つなぎで読めそう。
以下抜粋とコメント。
1/
それは、競争戦略の本質にかかわる問題だ。あっさり言ってしまえば、競争戦略とは「他社と違ったよいことをしろ」に尽きる。他社と同じでは完全競争に近づいてしまい、遅かれ早かれ儲からなくなる。だから違いをつくる。昔も今もこれからも、これが戦略の基本論理である。ここまでは納得できる。 それと同時に、その「違ったこと」は成果(競争戦略の場合は長期利益)を出すうえで「よいこと」「儲かること」でなくてはならない。これも当たり前のように納得がいく。 ところが二つ合わせるとどうも納得がいかない。「他社と違ったよいことをしろ」と言った瞬間にジレンマに突き当たる。 もしそんなに「よい」ことだったらとっくに誰かが気づいてやっているはず。みんな何とかして儲けようと真剣に商売をしているのである。 「よいこと」ほど「違い」になりにくい。よしんばまだ誰も思いついていないこと、やっていないことであっても、その「よいこと」をしてぼろ儲けしていれば、他社も同じことをやろうとするはずだ。遅かれ早かれ違いが違いでなくなってしまう。 戦略の目標は長期利益である。この一瞬だけ儲けましょう、という話ではない。だから競争優位を構築しようとする以上、それは持続的でなくてはならない。 構築よりも持続のほうが何倍も難しい。だから、戦略論の行き着くところは常に「模倣障壁」の問題になる。ようするに、他社が追いかけてきても違いを維持するための障壁をいかにつくるかという話だ。」
競争戦略の基本論理と目標について。内容自体は、読んで字の如し。という感じではあるが、意識してないと「戦略」という言葉が独り歩きしてしまう。
2/
パッションとロジック、どちらも必要なのだが、要は順番の問題である。 起点には人間のパッションがなければならない。 しかしパッションだけでは商売は動かない。だから論理が必要になる。 しかし、パッション不在の論理だけが先行してしまうと、後からパッションを鼓舞しようとしても無理がある。パッションは後づけがきかないのである。 パッションが起点にあり、それを論理で後押しするのが優れた戦略ストーリーである。 たとえば、「勝ちの兆候」を早く見せることができるのが優れた戦略ストーリーだと三枝さんは言う。 なかなか成果が見えないと、疲労感や猜疑心が出てきて、実行が頓挫してしまう。そうならないために、ストーリーの中に早いタイミングで一定の成果を全員で体験できるような「仕込み」をしておく。三枝さんの言葉でいう「アーリーウィン」である。
パッションとロジックの順番はわかる。パッションを後押しするロジックは常に意識しているつもりだし、最低限の身体化はできてそう。一方で、「アーリーウィン」については完全に抜けてる。
ロジカルに補強して以上終了。とならないようにしたい。
3/
優れた戦略ストーリーはさまざまな要素が「直列」でつながっていなくてはならない。直列だからこそ豆電球の光が強くなるのである。 著者の提唱するレコーディング・ダイエットは、徹底して直列のストーリーになっている。やるべきことが箇条書きで並列されるのではなく、時間の流れの中でしっかりとつながっている。だから、実際の効果の点でも画期的なダイエット本として多くの支持を集めている。ダイエットを必要としない人でも、読んでいるだけで面白い。
並列ではなく、直列。全体を構成する要素だけに捕われず、要素同士の関係性と「時間軸(時間の流れ)」までに目を向けてないと、立体感がでない。
4/
ここまで具体的な形を持つところまで降りてくる。現実世界から生まれた問題意識が抽象化を経て概念構想の高みまで到達する。 すると、抽象概念が位置エネルギーをもつ。 > それが再び具体へと戻っていくときに、概念のもつ位置エネルギーが運動エネルギーに変換され、現実世界の建築として具体化する。 これは僕がイメージする「創造」のど真ん中だ。 隈さんの一つひとつの仕事をみると、具体から抽象へ、抽象から具体へという変換過程が手に取るようにわかる。 「創造とは何か」がはっきりとした輪郭を持って見えてくる。 戦略をつくるという仕事にも、このようなエネルギー保存の法則がはたらいている。
創造性を高めるとは抽象と具体を行き来する頻度と振れ幅。