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『戦略プロフェッショナル シェア逆転の企業変革ドラマ』を読んだ


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粗利益率の低い事業は、働いても働いても、利益が出にくい。 しかも、赤字になる時は簡単にそうなってしまう。  粗利益が低い原因は一つしかない。 コストに比べて、十分に高い価格がつけられないからだ。  なぜ価格を高くつけられないかと言えば、単純な話で、 お客の認めてくれる価値 がそれだけしかないからだ。 そんな事業は、コストを画期的に下げられる見通しがない限り、 構造的に魅力のない事業 である可能性が強い。  だから、 なけなしの経営資源 を粗利益率の低いプロジェクトに注ぎ込んでしまうのは、絶対に要注意なのである。

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分厚い経営戦略書を買って、複雑な戦略モデルを理解しようと取り組んでも、ややこしい思いをしたあげくに、実際の仕事では使えない。 そんな経験のある人も、もう一度基本に戻って、プロダクト・ライフサイクルのセオリーだけは「完璧に」理解されることをおすすめする。 これは、あなたの仕事上の判断にモロに使えるからだ。

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成功する戦略は、会社の体力を考えてまず「戦いの場」を絞ること、そしてそこに、社内のエネルギーを「集中」させていく。 その「集中」を実行するために、組織に対し「無理を強いる」「不安を感じさせる」という面を必ず持っている。  そのためにはある程度の強引さを持たなければ、ろくな戦略になっていないはずである。 社内の大勢が初めから心安らかに受け入れる戦略などは、競合企業の高笑いが耳元で聞こえてきそうである。  反面、あまり大きな夢を描いて「戦いの場」の絞りが甘ければ、その企業はその戦略を達成することはできない。 「集中」させようにも戦場が広すぎるのだ。外から見れば動きがバラバラで、リーダーシップがなく、何かモタモタした感じになる。 そんな状態なのに自分たちには戦略があると信じているなら、これもまた、競合企業の高笑いが耳元で聞こえてきそうというものだ。

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打ち出された目標と組織の力量にはギャップがある。 そういう目標の出し方をしたのだから当たり前だ。  そのギャップを埋めるための新しい戦略を開発することが「目標先行のプランニング」のいちばん大切なところだ。 目標の数字を出すことよりも、その方がそもそもの目的だったのだとさえ断言できる。  そして出てきた戦略がそれで行けると思えば、目標をそのまま確定する。 戦略の切れ味が悪そうだと思えば、さらに強力な戦略を考案するよう仕向けるか、もし時間がなくなればその時点で目標を下げて、行動を開始するかのどちらかだ。 組織のなかに、こうした戦略開発をやりきる体制が整っていないのなら、この手法は悪感情を残すだけで何の益にもならない。

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セグメンテーションの手法は、強力な戦略コミュニケーション