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『ラディカル・プロダクト・シンキング』を読んだ


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リーンとアジャイルはどちらも優れた方法であり、フィードバックを重視した開発の際には私自身も応用しているし、強く推薦もしている。リーンとアジャイルでスピードが増し、目的地に着くのが早くなる。 しかし、 リーンとアジャイルに目的地を示す力はない。

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個別の顧客や関係者を喜ばせる努力をしてはならないとか、トレードオフは絶対に避けろ、と言っているわけではないし、そのような態度は現実的でもない。 短期的なニーズを満たすことなしに長期的な目標のみを追いつづけるのは不可能だ。

3/

ユーザーのために好ましい変化を引き起こす手段がプロダクトだ。 したがって、プロダクトをつくる前にどんな変化を引き起こしたいのか、確かなビジョンがなければならない。 … プロダクトは変化を起こすための仕組みにすぎず、最終ゴールではない。 … つまり、「ユーザーのやろうとしていることを容易にするために、私たちに何ができるだろうか?」と考えるである。

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ビジョン駆動型のプロダクトをつくるには、全員が正しいトレードオフを行う能力を身につけている必要がある。

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ビジネスで優先順位をつけたり決断を下したりすることは、基本的にビジョンへの前進(ビジョンフィット)と短期リスクの軽減(サバイバル)を秤にかけてトレードオフを行うことを意味している。 ビジョンフィットとサバイバルのバランスは、図3のような優先度フレームワークで示すことができる。

6/

ビジョン駆動型のプロダクトを開発するつもりなら、「理想」と「ビジョンへの投資」の領域を多く選択し、「ビジョン負債」と「危険」の領域はできるだけ避けるべきだろう。

7/

実際のところ、ユーザーのフィードバックを得ることは、車を運転しているときに道を尋ねるような行為だ。 そうすることで道順は改善できるだろう。 ただし、ドライバーであるあなたは目的地を知ったうえで道順を尋ねなければならない。

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プロダクト指標にむやみに数値目標を定めるのは危険 … ラディカル・プロダクト・シンキングはプロダクトを「目指す変化を生むためにつくられた絶えず改善を続けるメカニズム」とみなす。 自分にとって重要な指標を見つけたら、その指標に特定の数値目標値を設定することがプロダクトの成功につながると考えられがちだ。 何しろ、今までずっと「何かを達成したければ、測定可能な目標を決めろ」と言われてきたのだから。 … やるべきタスクと結果に明確な関連性がすでに見て取れたり、ある程度証明された因果関係があれば、数値目標を立てて突き進めばいい。 たとえば「1時間に10回行うタスクを20回にすれば、アウトプットが倍に増える」というようなものだ。

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プロダクトづくりでは、各タスクを実行することへの注力よりも、戦略を立て、仮説検証を繰り返して正しい戦略の方向性を磨いていくほうが重要だ。 こうしたケースではむやみに具体的な数値目標を設定してしまうよりも「最善を尽くせ」的なおおざっぱな指示のほうが高い成果につながることが明らかになっている。  数値を上げることだけを唯一の目標としてしまうと、具体的な目標がアイデアを試してみる気持ちや状況に適応しようという意欲を抑制するので、イノベーションが起こりにくくなる。