arsro.net

『世界はシステムで動く』を読んだ


1/

システムとは、何かが集まったものです。 人でも、細胞でも、分子でも、何であっても、時間の経過とともにその独自のパターンを創り出すようなやり方で相互につながっている何かが集まったものです。

2/

システムの挙動は、そのシステムを構成している要素を知るだけではわからない

3/

「システムとは3種類のものからなっている」ことがわかります。 「要素」と「相互のつながり」、そして「機能」または「目的」です。

4/

システムは通常、そのシステムでありつづけ、その要素をすべて取り替えたとしても、つながりと目的が同じである限り、変わるとしてもゆっくりとしか変わりません。

5/

ストックが変化するのには時間がかかるのです。 なぜならば、フローの移動には時間がかかるからです。 これはとても重要なポイントであり、「システムはなぜそのように挙動するか」を理解する上での鍵を握っています。 ストックはたいていゆっくりと変化し、システムにおいて、時間的遅れ、タイムラグ、バッファー、安定器、勢いの源として機能しうるのです。

6/

個人や組織の意思決定の多くは、ストックの水準を調整しようとするものです。 在庫が多すぎれば、価格を下げたり広告費を増やしたりします。 そうすることで、販売が増え、在庫が減るでしょう。 あなたの台所の食材のストックが少なくなれば、買い物に行きますよね。

7/

システムの中でフィードバックに基づいて意思決定をしている人は、現在のフィードバックを動かしているシステムの挙動を変えることはできません。 その人の行う意思決定が影響を与えられるのは、将来の挙動だけなのです。

8/

「外見上のシステムはまったく似ていなくても、フィードバック構造が似ているシステムは、同じようなダイナミックな挙動を生み出す」というものです。

9/

人口であれ企業であれ、銀行口座であれ噂であれ、伝染病であれ新製品の販売であれ、成長している何かがあれば、私たちは必ず、その成長を推進している自己強化型ループと、最終的に成長を制約することになるバランス型ループを探します。

10/

ダイナミックなシステムがしょっちゅう人を驚かせるのはなぜか、その理由のいくつかを説明しましょう。 裏返して言えば、「私たちのメンタル・モデルはいかにして(少なくともシステムの観点から見れば)、実際の世界の複雑さを考慮に入れることができないのか」を集めたものです。

11/

システム思考は、構造(ストック、フロー、フィードバックの図)と挙動(時系列グラフ)の間を、絶えず行ったり来たりします。 システム思考家は、スリンキーを放す手**(出来事)と、その結果としての振動(挙動)と、スリンキーのらせん状のコイルの機械的な特徴(構造)**の間のつながりを理解しようとします。 実際には、世界で行われている分析の多くは、出来事レベルよりも深くは行われません。 「なぜ株式市場はそうだったか」という毎晩の説明を聞いてごらんなさい。 株価が上がった(下がった)のは、米ドルが下がった(上がった)から、またはプライムレートが上がった(下がった)から、または民主党が勝った(負けた)から、またはある国が別の国に侵攻した(またはしなかった)から、といった具合です。 「出来事─出来事」の分析なのです。

12/

私たちは、システムのつくり出す出来事に心を奪われ過ぎており、これまでの経緯にはほとんど注意を払いません。 そして、これまでの経緯の中に、挙動や出来事を生み出している構造についての手掛かりを探すことが下手なのです。

13/

システムに関して考えるとき、「副作用」というよく使われる言葉に、根本的な誤解が埋め込まれていることがわかる。 …… この言葉のだいたいの意味は、「自分が予想していなかった、または考えたくない作用」ということだ。 ……「副作用」と言うが、「主」作用と言えないのと同じく、「副」作用とも言うことはできない。 システムの観点から物事を考えるのは難しく、私たちはその必要性から自らを守るために、熱心に言葉をゆがめるのだ。 ── ギャレット・ハーディン

14/

目標を設定し直したり、フィードバック・ループを弱めたり強めたり変えたり、新しいフィードバック・ループを加えたりすることで)構造を変えることです。

15/

変化への抵抗が生じるのは、サブシステムの目標が互いに異なり、一貫していないときです。 システムのストックがひとつ(たとえば、街路での麻薬の供給量)で、さまざまな主体者がそのストックを別々の方向に引っ張ろうとしているところを想像してみてください。 麻薬中毒者はそのストックを高レベルで保ちたいと思い、警察は低レベルで保ちたいと望み、麻薬の売人は、値段が上がりすぎたり下がりすぎたりしないように、ちょうど真ん中で保ちたいと思います。 ふつうの市民は、麻薬を買うためのお金を得ようとする中毒者の強盗からただ安全であることだけを望んでいます。 すべての主体者は、それぞれ異なる自分の目標を達成しようと懸命に努力し

相手のサブシステムの目標を把握した上で自身のサブシステムとの整合をどう測るか?という話になる?🤔

16/

ルールのすり抜けは通常、厳格すぎて有害で、機能しない、または定義のおかしなルールが上からやってくることに対する、ヒエラルキーの下位からの反応です。

妥当なフィードバックである可能性があるので、必ずしも悪いものではない。

17/

レバレッジ・ポイントは、直感では理解できない」ことが多いのです。 または、もし直感でわかったとしても、ほとんどの場合、私たちは逆向きに使ってしまい、解決しようとしている問題が何であれ、システム構造的に悪化させてしまうのです。

18/

私たちの注意の 90%、いえ、 95%、いえ 99% はパラメーターに向けられますが、そこにはレバレッジはそれほどありません。

19/

パラメーターが重要ではない、ということではありません。 重要な場合もあります。 特に、短期的には、またそのフローに直接関わっている人にとっては、重要かもしれません。 人々は税金や最低賃金などを非常に気にしているので、それらをめぐって熾烈な戦いをします。 しかし、これらの変数を変えても、国の経済システムの挙動を変えることはめったにありません。 システムが慢性的に停滞しているのであれば、パラメーターを変更することでそのシステムが活性化することはほとんどありません。 激しく変動するシステムが、パラメーターの変更で安定することもありません。 システムが手に負えなくなりつつあるとしたら、パラメーターの変更で減速することはありません。

20/

企業がジャスト・イン・タイム式の在庫を考案したのは、たまに起こる変動や失敗に脆弱であっても、それはある一定の在庫コストよりも(少なくとも彼らにとっては)安いからです。

裏を返すと在庫コストが低い場合は、ジャストインタイムはコスパ悪いんだろうな。

21/

構造が構築されたあとは、その限界とボトルネックを理解し、最大の効率でその構造を利用し、その能力に負担をかける変動や拡張をしないようにすることがレバレッジとなります。

22/

共通するプロセスは、「何が起こっているか」をありのままに見つめ(指標)、 なぜ起こっているかを説明できるものごとのつながりを見いだし(システムの観察)、 レバレッジ・ポイントと呼ばれる効果的な介入ポイントを特定して働きかけを探り(イノベーション)、 その実施や移行のための戦略を築いて(戦略)、 リソースを動員する人たちの合意を得る(合意)ことである。

23/

重要なのは、単なるインプット─アウトプット分析や回帰分析に見られるような線形の関係にとどめず、原因から結果へと影響を与えたことが、再び原因にもどってくるフィードバック・ループ(第1章)を見いだすことである。

24/

ひとたび解決策のリストができたら、もっとも波及効果が大きく、副作用が軽度で、できるだけ中長期にシステムの資本や能力を積み上げるような解決策を選ぶ

副作用についての考慮したことがなかった。