『プラットフォーム革命』を読んだ
プラットフォームとはなんぞや?という話と構成要素や仕組みなどを事例交えつつ、体系的に説明してあったので、その辺気になる方はどうぞ。
INDEX
プラットフォームとはなにか?
究極的には、プラットフォームは取引を円滑化することによって、価値を創造する。直線的なビジネスが、商品やサービスを作ることで価値を生み出すのに対して、プラットフォームはつながりを作り、取引を「創造する」ことで価値を生み出す。
直線的ビジネスモデルについて
メーカーと小売のような関係のようなイメージしやすいでしょうか?
商品またはサービスを作り、それを顧客に販売するモデルで、価値はサプライチェーンを通じて一方向に直線的に流れます。
こんな感じですね👇
(商品・サービスをつくる企業)→(顧客A)→(顧客B)→(消費者)
これは、産業革命以降中心になったビジネスです。
なぜ中心的なビジネスモデルとなり得たのか?
一言でいえば、効率化です。
サプライヤーからメーカー、小売、そして最終的には消費者へとつながるサプライチェーンで、価値は直線的に流れます。
それが故に各フェーズで、そのフェーズ担当の企業は効率化に集中することができ、商品またはサービスに価値がより付加され、次のフェーズへと移ることができます。
つまり、ミクロでの効率化によって、マクロでの大幅な効率化を可能にしているということです。
対するプラットフォームはどうか?
プラットフォームは、直線的ビジネスのような在庫の確保・管理をしていません。
プラットフォームが作っているのは、生産手段ではなく、生産手段を持つ誰かと誰かをつなげる方法です。
プラットフォームとは何か。 それは複数のユーザーグループや、消費者とプロデューサーの間での価値交換を円滑化するビジネスモデルだ。 この交換を実現させるために、プラットフォームは、ユーザーとリソースからなり、好きなときにアクセスできるスケール化可能な大型ネットワークを作る。 また、プラットフォームは、ユーザーが交流し、取引ができるコミュニティーと市場を作る。
プラットフォームは、そこに参加し交流するためのコストを減らします。
そして、人と人をつなげて、その人たちの間で、商品やサービスを売買を行うことできる場所を提供しているのです。
プラットフォームは公園あり、商品やサービスは公園にいる子供たちが交流を行うきっかけとなる遊具みたいなものなのかもしれないですねー。
現在、スマホの普及で世界のネットワークが広がる中で、ビジネスの価値の中核をなすのは、そのネットワークです。
今後、企業は何を所有しているかよりも、誰とつながっているか、なにを結びつけられるか、といったことの方が重要になってくるでしょう。
そこでのソリューションの1つがプラットフォームビジネスなのではないでしょうか?
プラットフォームがフォーカスすべき2つのこと
すべてのプラットフォームは2つのことをする。 取引費用を下げ、補完的イノベーションを可能にすることだ。 この2つの価値提案を組み合わせると、大きなインパクトを生み出せる。
またこのようにも書いています。
1. 取引費用(取引コスト)?
取引費用とは、プラットフォームで交流するための参加費用のことを言います。
費用とありますが、必ずしも金銭期な費用が発生しているわけではないです。例えば、Amazonで欲しい商品を探すためにかかった時間も費用です。
そういう意味だと「コスト」と書いた方がわかりやすいのかもしれないなと思ったので、ここでは「取引コスト」ということにします。
3つの取引コスト
取引コストは3つに分類することができ、全プラットフォームが、何らかの形でこれらのコストを減らすことに注力しています。
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探すコストと情報コスト:プラットフォーム上で特定の商品(やサービス)を探すコスト
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交渉コスト:プラットフォーム上でのコミュニケーションコスト
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執行コスト:プラットフォーム上での適切な行動を促すコスト
ここで、最初勘違いしていたのが、多くのプラットフォームが、3つすべてのコストを引き下げていると解釈していたのですが、そうとは限らないですね。
プラットフォームごとに優先して減らすべきコストが存在しているはずなので、どこに注力すべきかは考えないといけないなと思います。
あなたがプラットフォームを構築するにあたり、どのような価値提案を中核に据えようか決めかねているなら、いい判断基準がある。 やり方を変えたい活動を選んで、それを次の文章にはめ込んでみるのだ。「○○○、もうウザい作業とはおさらばだ」。 少しばかり乱暴な表現だが、このやり方は手軽な見分け方になるはずだ。
2. 補完的イノベーション?
プラットフォーム上で取引を開始するのに、必要なものはなんでしょうか?
それは、取引される「モノ」です。(この「モノ」のことを補完商品、補完サービスと本著では呼んでいます。)
プラットフォームの参加者を増やし拡大していくためには、プラットフォームの参加者に、たくさんの魅力的な「モノ」を生み出してもらうことが必須です。(遊んで楽しい遊具がある公園には、子どもたちがたくさん集まってきて、たくさん遊んでくれるはずです。)
そのためのサービス(≒「補完的イノベーション」)を提供することも、プラットフォームが注力しないといけないことの1つと言えるでしょう。
プラットフォームの構造と分類
4つのコア機能
ユーザーをネットワークに参加させ、そのマッチングを助け、取引しやすくする技術を提供し、信頼を醸造して質を維持するためのルールを作ることが必要だ。
プラットフォームには4つのコア機能が存在します。
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オーディエンスの構築: 消費者とプロデューサーをクリティカルマス以上獲得して、流動的なマーケットプレースを構築する
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マッチメーキング: 正しい消費者を正しいプロデューサーと結びつけて、取引と交流を円滑化する
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中核的ツールとサービスの提供: 中核的ツールとサービスの提供……取引費用を下げ、参入障壁を取り除き、データによって長期的にプラットフォームの価値を高めて、コア取引を支援するツールとサービスを構築する
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ルールと基準の設定: ルールと基準の設定……どのような行動が許され奨励されるか、どのような行動が禁止され思いとどまるよう促されるかを定めたガイドラインを作成
これら4つのいずれにも明確に当てはまらないツールやサービスの提供は不要であることが多いので注意が必要です。
プラットフォームの分類
各プラットフォーム上の中核的価値の差異があり、それらは大きく2つに分かれます。
取引費用を最小化することに重点を置いているプラットフォーム(ex. Airbnb)と、自らがインフラを提供して、ユーザーの創作活動の推進に注力するプラットフォーム(ex. YouTube)です。
前者を「交換型プラットフォーム」、後者を「メーカー型プラットフォーム」と呼び、2者の機能は基本的に大きく異なります。
また2者は更に提供するサービスの違いで、分類できます。
交換型
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サービスマーケットプレース: サービスの交換
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プロダクトマーケットプレース: 物理的商品の交換
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決済プラットフォーム: 金銭による支払い
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投資プラットフォーム: 投資(株か融資かを問わず、金融商品のために交換される金銭)
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ソーシャルネットワーキングプラットフォーム: ダブルオプトイン式(友達申請型)の交流
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コミュニケーションプラットフォーム: 1対1の直接交流(例:メッセージング)
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ソーシャルゲームプラットフォーム: 複数のユーザー(味方かライバルかを問わず)がいるゲーム交流メーカー型
メーカー型
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コンテンツプラットフォーム: 一つのコンテンツ(記事、写真、動画等)
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開発プラットフォーム: ソフトウエアプログラム
2種のプラットフォームの最大の違い
マッチング意思と呼ばれるコンセプトと関係がある。 マッチング意思とは、所定の時間内にプロデューサーが交換できるアイテムの単位数の最大値だ。
交換型プラットフォームのマッチング意思は1ないし少量ですが、メーカー型プラットフォームのマッチング意思は、膨大な数(理論的には無限大)になります。
例えば、Airbnb(交換型)の場合、ホスえトが貸し出したい部屋1つに対して、ゲストは1人または1グループ(数名)というのがほとんどケースでしょう。
ゲストが部屋を借りている間は、プラットフォームでの活動に参加したくてもできません。
対して、YouTube(メーカー型)の場合、YouTuber1人が公開した動画を理論上、全世界の人間が視聴することができます。(そういう意味だと無限大といっても80億弱のマッチング意思ということですかね🤔)
コア取引について
コア取引とは、消費者とプロデューサーが価値を交換するために完了しなければならない一連のプロセスのことです。
どんなプラットフォームであれ、コア取引は以下の4つのステップを伴います。
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創造する: プロデューサーが価値を創造し、プラットフォーム経由でそれらを提供する。
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結びつける: どんな取引でも、1人のユーザーが相手方とつながることによって交換のきっかけが生まれる。(価値交換のきっかけを作る。)
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消費する: 消費者は自分のニーズにマッチしたものを見つけると、プロデューサーが作った価値を消費する。
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対価を払う: 消費者は、自分が消費したものと引き換えに、プロデューサーに価値を渡す。
プラットフォームは、こうした潜在的なつながりを取引に変換するプロセスを設計し、このプロセスを何度も繰り返す。 どんなプラットフォームを構築するときも、最初にやるべきことは、このプロセスの設計だ。
コア取引とコア機能
両者はどういう関係にあるのでしょうか?
プラットフォームは、ネットワークを構築していき、そこで生まれるコア取引を価値に変える場です。
プラットフォームを「見える手」と考えて欲しい。4つの支援活動はその指で、コア取引が親指だ。 親指がなければ、ほかの指はあまり役に立たない。だが、親指以外の指が1本欠けても、手全体がうまく機能しない。
4つのコア機能によって、場の準備を整え、コア取引によって実際に価値の取引ができる状態にする。というイメージですかね。
サービスのコモディティについて
コモディティ化とは、消費者とプロデューサーが取引をするとき発生する費用を反映しているものです。
別の言い方でいうと、サービスが「コモディティー化されている」とは、消費者があるサービスで重視する側面は限られているということです。
つまり、コア取引のコモディティ化のレベルが高いほど、費用は低くなります。
なぜなら、(一般的な商品・サービスと同じように)サービスで重視する発生する側面が限られるため、プラットフォーム間での価格勝負になってしまうからでしょう。
ということは、上述の9つのタイプのプラットフォームにおいて、コモディティ化のレベルが高いプラットフォームから低いプラットフォームがあるため、コモディティ化のレベルがプラットフォームの仕組みや設計を決めるといってもいいかもしれません。
もし重視する側面が少ないなら、コア取引もシンプルにしたほうがいい。
たとえば、トイレ修理や食事配達といったサービスで、消費者が重視するのは、そのサービスが時間以内に完了することなので、プラットフォームが適正な料金とサービスの質を保証してくれるなら、誰がそれを実行してくれても基本的には構わない。ということになります。
他の例として👇
同じ考え方が、ソーシャルネットワークにもあてはまる。 ティンダーなど、よりコモディティー化が進んだサービスのプラットフォームでは、ユーザーのプロフィールは写真と短い文章だけで、近くにいる誰かと自動的にマッチングをする。 だが、リンクトインのようなプラットフォームでは、ユーザーのプロフィールはもっと詳しくて、コモディティー化のレベルは低い。 この種のプラットフォームでは、自動マッチングではなく、それぞれが重視する条件を検索できる設計のほうが、適切なマッチングを生み出せる。 コンテンツプラットフォームの設計でも、コモディティー化のレベルが影響を与える。 ツイッターやインスタグラムのようにコモディティー化のレベルが高いコンテンツのプラットフォームでは、一般にコンテンツを素早く簡単に作れるから、消費者とプロデューサーに重複する部分が多い。 一方、ユーチューブの動画のようにコモディティー化のレベルが低いコンテンツプラットフォームでは、プロデューサーと消費者がはっきり分かれている。 こうしたプラットフォームは、一握りのユーザーが大部分のコンテンツを作るため、「べき乗則」に近い力学が働くことが多く、それに応じて設計される必要がある。
コア取引のコモディティ ≠ ビジネスのコモディティ
先程、プラットフォーム間の価格勝負によってコア取引のコモディティ化のレベルが高いほど、費用は低くなる。と言いましたが、コア取引がコモディティ化されているからといって、そのプラットフォームが不利かというと、そういうことはありません。
コア取引のコモディティレベルは、そのプラットフォームのビジネスモデルをどのように設計して、最適化するべきかを決めます。
ただ、自分たちのビジネスにあったプラットフォームのタイプが見つかっても、コモディティ化のレベルを見極めるのは難しいため、結果そのコモディティレベルが高くなっても、問題はないみたいです。