『隠れたキーマンを探せ』を読んだ
2025年は営業活動にも手を伸ばし始めたこともあり、勧められた本をいくつか読んでみることにする。
1. 購買における合意形成の重要性
購買プロセスの3つのステージ
- 問題の定義
- ソリューションの特定
- サプライヤーの選定
どのステージでも顧客関係者が合意に達しない可能性があり、合意がなければ物事は前に進まない。
2. 「モビライザー」という存在
従来型の重要人物像(実は重要ではない)
- 上級幹部の肩書
- 予算権限者
- 意思決定権限
花形販売員が本当に探している人物の条件(2つが突出)
- ①組織全体で変革を推進できる
- ②同僚のあいだで合意を形成できる
このような人物を「モビライザー」と呼び、この関係者に頼れば有意義な進展が得られ、最終的に成約を果たせる。
ハイパフォーマーの特徴的な考え方
- 相手が懐疑的であり、圧力をかけてくることを歓迎する
- それがないと「自分が何か間違ったか、相手が本気でないか」と考える
- 平均的パフォーマーとは全く異なる視点
3. モビライザーへの3つのアプローチ
- 指導:どこで学べばよいかを教える
- 適応:それぞれのタイプに合わせて関与のしかたを変える
- 支配:合意形成プロセスを主導できるように導く
4. 「Aを壊してからBを築く」理論
営業の本質的な目標
- ソリューションを買わせることではなく、行動を変えさせること
- サプライヤーはまず顧客組織内の誰かに「変化が必要である」ことを納得させなければならない
メンタルモデルの破壊と再構築
- 何も買わない顧客に買わせる、ライバルではなく自分たちから買わせる、もっと買わせる
- 販売チームの主なミッションは、顧客に現在の行動をやめさせ、新しく望ましい行動を起こさせること
現代の最大の課題
- 顧客は自らサプライヤーと接触せずとも学べる時代
- 顧客に今の考え方を再検討させることが最大の課題
- 特定の購買基準や、現状で「そこそこ」満足という強い念を打破する必要がある
インサイトの役割
- 現状の行動(A)と新しい行動(B)の間に認知的・感情的不協和を引き起こす
- 顧客の需要をつくり、つくり直すための強力な手段
勝利の方程式:「Aを壊してからBを築け」
- Bのベネフィットをうまく説明することではなく、Aのデメリットをうまく説明することが本当に必要
- それがないと、Bが素晴らしく見えても、Aも「そこそこ」でありつづける
- ソリューション営業での勝利は、Bをめぐる戦いというよりも、Aをめぐる戦い
実行のプロセス
- 最終目標から逆算して、主要ドライバーや二次的ドライバーを特定
- 相互関係を図式化し、情報収集、結果検証、影響度の議論を繰り返す系統立った有機的なプロセス
5. コンテンツとメッセージング戦略
メッセージの純度を守る重要性
- 「色が生徒の学習を改善する」という明確なメッセージを守るため、容赦ない編集作業を実施
- 情報を追加できるチャンスがあっても、きわめてクリアなメッセージでなければならない
- 「市場に届けるのは、このメッセージだけ」という姿勢
真の課題:モビライザーに他の4.4人を説得させる
- ねらいは関係者とサプライヤーをつなげることではなく、関係者同士をうまくつなげること
6. 従来のマーケティング思考の3つの致命的欠陥
①量の優先による顧客疲弊
- コンテンツをどんどんつくり続け、質より量が優先される
- アウトバウンドマーケティングでリード生成を急ぐあまり、すでにメッセージ攻めに遭っている顧客をげんなりさせる
②顧客の事業認識を変えられない
- 顧客の自社事業に対する認識を変え、方向転換させることの重要性を理解していない
- 結果として、マーケターは自分たちのソリューションをコモディティ化する需要を生んでしまう
③購買集団を互いに結びつけない
- 購買集団の個人をサプライヤーに結びつけようとするだけ
- 彼らを互いに結びつけようとしないため、問題やソリューションをめぐる早期合意の下地をつくれない
顧客のメンタルモデルへの向き合いの欠如
- コモディティ化行きの列車の行き先を変えるために必要なこと
- サプライヤーと接触する前に購買プロセスの57%まで進んでいる顧客を方向転換させるには不可欠
結果として起こること
- 「確立された需要」に対応するだけで、利益率の低い小さな取引で終わる
- コンセンサス購買では個々人の購入意向はほとんど意味を持たない
- メッセージやコンテンツを極端に個別化すると、購買集団の多様な関係者をもっとばらばらにする
- うまくいっても各人からイエスをもらうだけで、集団はイエスと言ってくれない
7. 必要とされる4つの能力
- 事業に対する顧客の考え方を変えるインサイトを生み出す能力
- 自社(サプライヤー)独自の能力やベネフィットを理解・説明する能力
- 顧客に関するインサイトを自社独自の能力に結びつける能力
- それらすべてを、さまざまなコンテンツタイプ(営業資料を含む)の説得力あるメッセージに入れ込む能力
8. 購買プロセスの詳細な8段階
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 1. 必要性の認識 | ビジネスチャンス、リスク、問題がきっかけ。現状維持の言い訳も多い。サプライヤーの調査や接触を開始 |
| 2. 選択肢の検討 | サプライヤーの最初の比較。能力や価格を含むより詳しい調査。詳しい情報を要求 |
| 3. 購買基準の決定 | 事業プロセスの有効性評価。パフォーマンス改善が必要な領域と最低基準を検討。リスク・リワード分析。購買集団の招集。購買基準の案を提示 |
| 4. 選択肢の評価 | 明確なビジネスケースを経営陣に提示。ソリューションプロバイダーを正式評価。サプライヤー候補を絞り込み |
| 5. 選択肢の認証とサプライヤーの選定 | ROI評価。正式な要件決定。資金確保。継続か中止かの決定 |
| 6. 購買の交渉 | 調達部門が正式参加。経営幹部の最終承認。法的チェック。契約締結 |
| 7. ソリューションの実行 | プロジェクトチーム編成。旧プロセス終了。新プロセス実行 |
| 8. 効果の評価 | サービスレベルや合意されたパフォーマンス水準が見込みどおりかを評価 |
9. 各ステージで顧客が答えるべき問い
- 学習ステージ:何を学んでいなければならないか?何を気にするべきか?
- 必要性の理解ステージ:この必要性に対してどう反応すべきか?
- 購買基準の決定ステージ:どのように購買基準を決めるべきか?
- 選択肢の評価ステージ:どのように評価し、合意に達するべきか?
- 認証と選定ステージ:どのように最終決定に到達すべきか?