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「失敗の科学」を読んだ


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病院の手術室でも同様だ。 看護師のジェーンは、問題の解決方法に気づいて気管切開キットを準備していた。 あのとき彼女がもっと大きな声を出せなかったのは、上下関係に配慮したからであって、患者を思う気持ちが足りなかったからではなかった。 問題は当事者の熱意やモチベーションにはない。 改善すべきは、人間の心理を考慮しないシステムの方なのだ。

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疑似科学の世界では、問題はもっと構造的だ。 つまり、故意にしろ偶然にしろ、失敗することが不可能な仕組みになっている。 だからこそ理論は完璧に見え、信奉者は虜になる。 しかし、 あらゆるものが当てはまるということは、何からも学べない ことに等しい。

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診断力や判断力を高めたいときに大事なのは、熱意やモチベーションだけではない。 暗闇に明かりをつける方法を探すことが肝心だ。 間違いを教えてくれるフィードバックがなければ、訓練や経験を何年積んでも何も向上しない。

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進化とは、選択の繰り返し

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彼によれば、サイバネティックス(通信・制御・システム工学などを統一的に扱う学問)、デリバティブ、医学、ジェットエンジンなどどんな分野でも、その歴史を紐解けば、(ユニリーバの生物学者が実践したような)試行錯誤の結果として発明やイノベーションが生まれ、それがのちに論理化・体系化されてきたことがわかるという。 開発者が直面する問題はときに複雑すぎて、理論や図面の上だけで答えを出すことはできない。 実際に失敗を繰り返して学び、解決していくしかない。

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量のグループは、実際に作品を次から次へと作って試行錯誤を重ね、粘土の扱いもうまくなっていった。 しかし質のグループは、最初から完璧な作品を作ろうとするあまり頭で考えることに時間をかけすぎてしまった。結局あとに残ったのは、壮大な理論と粘土の塊だった。

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フィードバックのメカニズムがなければ、創造力はただの雑音でしかない。 成功は、創造と検証の複雑な相互作用によってもたらされるのだ。

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だからこそ、我々が成功に向かって歩んでいくためには、進んで検証を繰り返していかなければならない。 状況が複雑になればなるほど、トップダウンではなく、ボトムアップで真実を見出す努力が必要だ。

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事前検死は非常にシンプルな手法だ。 まずチームのリーダー(プロジェクトの責任者とは別の人物)は、メンバー全員に「プロジェクトが大失敗しました」と告げる。 メンバーは次の数分間で、失敗の理由をできるだけ書き出さなければならない。 その後、プロジェクトの責任者から順に、理由をひとつずつ発表していく。 それを 理由がなくなるまで行う。

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