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AmazonにおけるSelectionのnoteに関するメモ


その1

AmazonでのSelection戦略は、一言で言うと: 「どのカテゴリーで、どのようにSelectionを増やしていき、どのような売り場をカスタマーに提供するのか」を定義する に集約できると思う。 この一見当たり前に思えるこの一言を言語化するのは本当に大変だった。 考えてみてほしい、**”どのカテゴリー””どうやって伸ばすのか”**なんて、日々の消費財であるドラッグストアやグロッサリー vs. 嗜好品であるビューティーやワインではカスタマーのニーズが全く異なる。 **”どう増やすのか”と言うのも、新規のブランドをとってきたり、獲得済みのブランドでも未獲得のSKUを獲得するのではアプローチが異なる。 そもそも、”増やす対象がどれだけあるのか”をどうやって網羅的に把握するのか。どこまで増やす伸び代があるのか、何がまだ取れていないのか。そんなことは皆感覚でしか解っていない。 そして、”どのような売り場にするのか”**と言うのも、例えカスタマーに聞いたとしても「品揃えが多い店がいい」くらいの回答しか返ってこない。完全な解は存在せず、サイト全体の売上げだけが戦略の正当性を証明してくれる。 これらを構造化し、数値化し、仕組み化し、カスタマーのためにより意味のあるSelectionを増やしながら、カリカリにロジックを詰め、Japanの社長やSenior Managementに対して戦略の正当性と進捗を説明していく、これがSelection大臣のお仕事だった。

が主にやることになるのか?

その2

Selectionには4つのフェーズがあり、①獲得するフェーズ、②売れる土俵に乗せる、③更に売りを伸ばす、④儲かる売り方を工夫すると定義

「どのような売り場をカスタマーに提供するのか」ということを考える際に重要なことは、「カスタマーに自社の売り場をどのように捉えてもらいたいか」、というところから考える必要がある。

「我々にとってRelevantな競合のSelectionをベンチマークし、SelectionのParityをとる」 … まず、Relevantな競合とあるが、Relevantを直訳すると”関連する”だが、言外の意を説明すると「カスタマーが今欲しいとしているものを買う際に、頭に浮かべるであろうお店」という意味が含まれている。例えばセブンイレブンならファミマやローソン。伊勢丹なら高島屋。と言ったところだろうか。Amazonにも各部門毎に絶対に負けてはならない競合が複数設定されている。(誰が競合だったかというのは残念ながらここで書いたらAmazonに怒られそうなのでやめておく) 次にSelectionのParityをとるとあるが、Parityを直訳すると”同等である”と出るが、これは早い話”Selectionの同質化”だ。競合が提供しているものは、絶対にうちも提供するということになる。

その3

「オンラインストアは棚スペースの制限がないのだから、より多くのSelectionをもってて当たり前じゃね」(意訳)とのことだ。 そこに対して”どこまで取ればいいのか”ということにある程度の解を示し、部門全体でスタンスをとって事業を推進していたのがSelectionの”同質化”と”差別化”の考え方 … 差別化というと、こだわりの商品を取り揃えるという響きに聞こえがちだが、これが100%ではないと考える。

同質化を推し進める中で、どのカテゴリのちからを強くして、Selectionのユニバーサルを競合と差別かすべきかという話という理解であってるのかな?

その4

「どのような売場をカスタマーに提供するのか」ということを常に考え、自分たちがベンチマークにすべきSelectionの母数(ユニバース)に対し、カテゴリー毎にどれくらい獲得できているのかを理解し、どこをどうやって伸ばすのかを競合との”同質化”と”差別化”で考えていくのが重要であるとお伝えした。

e-commerceにおいて、商品が戦う土俵(商品ページ)に上がるために、最低限必要な手当ては恐らくこんな感じに集約されると思う: **Pricing :**魅力的な価格がついているのか担保しつつ、 **in-stock :**カスタマーが欲しいと思った時にしっかりと棚にはいっていて、 **Catalog :**選ぶ際の判断基準としての説明が最低限提供されている

その5

お祭りセール時のそれぞれのチームの準備 ・**バイヤー:**どの商品を目玉商品にするかを選定し、 ・**マーケティング:**どの商品にどれくらいの割引をかけ、どこで露出するかを決め、 ・**在庫担当:**どれくらい売れるかの需要予測をもとに在庫を積み上げ、 ・**オペレーションやSCM:**すさまじいピークを乗り越えるための入念な計画をたてる。

セールのお祭り期間に大幅な割引をしても、その後の継続的な購買につながらなければ一過性の販売で終わってしまう。閉店売り切りセールではないのだから、ただの需要の先食いに終わるケースもある。 また、継続して売りにつながらないならば、来年以降おなじような金額のファンドをベンダーやメーカーが補填してくれず、魅力的なセールも実施できなくなるリスクも高い

その6

唐突だが、 Amazonの品揃えの登録方法は2種類ある。 1.) バイヤーが獲得してきて自分でホクホクと品揃えとして追加する場合と、 2.) ベンダーやメーカーの担当者が、直接システムを通して追加する場合だ。 前者のバイヤーがホクホク登録する場合は、大抵細やかなケアがなされている。しかし後者のベンダーやメーカーによる登録の場合、実はあまり利益率が良くない条件や売り方で販売されているケースがあったりする

https://note.com/tochinai/n/ne5d169b18c81#sYL5I

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